2010.8.27 〜北岳バットレス(1日目)〜
当初の予定はピラミッドフェース付近の下部岩壁を試登しようとしたが、
アプローチを間違えBガリー大滝を登り、アルパインならではの洗礼を受ける

<北岳バットレス(2010.8.27〜29)>
8/27 1日目(Bガリー大滝試登)
8/28 2日目(Dガリー大滝-下部フランケ)
8/28 2日目(第四尾根-北岳肩ノ小屋)
8/29 3日目(北岳肩ノ小屋から下山)

北岳バットレス(2009.8.28撮影)
場所
山梨県南アルプス市



登攀のみの行程
1319Bガリー大滝1P目-1423Bガリー大滝2P目終了-1447Bガリー大滝2P目から懸垂下降開始-1542Bガリー大滝取り付き



参考資料
今回のグレードは「チャレンジアルパインクライミング」を参考にしました。

歩行ルートマップ
標高差(広河原-Bガリー大滝):1350m
累積標高差(広河原-Bガリー大滝-白根御池小屋):1500m
平面距離(全行程):6.7km
登山口:広河原
登山口までの移動手段(片道):バス(1100円)か乗合タクシー(1200円)
駐車場:芦安市営駐車場(無料)
標準コースタイム(山と高原地図2008): 広河原-(3:00)-白根御池小屋-(約2:30)-Bガリー大滝取り付き-(約2:00)-白根御池小屋(合計約7:30)

登山時間(1日目): 広河原-白根御池小屋-Bガリー登攀-白根御池小屋。10:11、パートナーと
登山行程: 0737広河原出合-1008/1112白根御池小屋-1319/1542登攀-1655D沢に荷物をデポ-1748白根御池小屋

なぜこの山?
「日帰り登山」の掟を破り、初めてのテント泊・山小屋泊。

そもそも今回の北岳バットレス登攀であるが、この計画は約半年前から決定していました。基本的に日帰り登山を専門としていましたが、職場が変わる前に「でかいこと」をやっておきたいと思い、パートナーである榊原さんと「北岳バットレス(ピラミッドフェース→第四尾根→中央稜)」と決めました。

調べてみると、これを登るためには15〜20ピッチ登らなければならなく、恐らく日本でもっとも長い継続登攀で、もっとも高所の登攀でないかと思われます。しかも最高のピッチグレードが、V+級が二つもあり、こんなの1ピッチ登っただけでもパンプしそうです。・・・ということで「最低一週に一度はクライミングジム」は律儀にこなし、三ツ峠でも10ピッチ以上登れたので、「なんとか登れるだろう」という感じになりました。

でも、直前になっていろいろ調べてみると「落石の巣」とか「フォールした」とか、嫌な記載がどうしても目にはってしまい、月曜日からは鬱っぽくなり、「なんでこんなことやろうとしたのか?」と自問自答の状況でした。(初めての古典的アルパインクライミングが、いきなり「北岳バットレス(ピラミッドフェース→第四尾根→中央稜)のつるべ」なんて人いないでしょうに、普通なら第四尾根だけをフォローで登るとか)

でも、さらに直前になってくると「この人(ブログの記事を見て)は自分よりも弱いが、このルートを登れている」とか思うようになり、「実力通りに登れば全然登れる」いう感じ(一種の諦め?)になってきたので、逆にスッキリしていました。

<過去の北岳付近の山行>
白峰三山(2009.8.28) :奈良田→農鳥岳→間ノ岳→北岳→広河原を日帰り





登山口までの移動・登山記録
出発は前日の9時であったが、家族とは「しばしのお別れだね」と映画みたいな別れをしました。
(これって「ちょっとカッコイイ」と思ったりしました)

甲府駅で榊原さんをピックアップして芦安の駐車場へ向かう。

芦安の駐車場でテントを張り、小宴会。

これから、初めての山中でのテント泊・山小屋泊の山旅?が始まります。

(三年も山をやり、日本百名山も45座を落としているのに、これらを一度もやっていない人もめずらしい)
始発バスは7時台であったが、乗合タクシーが出発するので、それに乗ることにする。

100円高くなります。
我々の荷物は20数kgもあり、乗合タクシーの運ちゃんは積み込めず。

なので、我々が載せる。
6時半過ぎに芦安を出発し、南アルプス林道を走る。



間ノ岳と北岳が見えています。
広河原(大樺沢出合)に到着しました。



本日は白根御池小屋にテント泊です。
おお、北岳が見えています。



あれに登るんだよね〜。
拡大する。



矢印のラインが「第四尾根」で、ピラミッドフェースは見えない。
吊橋を渡る。
広河原山荘。
白根御池小屋までは、このクロックス(もどき)で登る。

下手な登山靴よりもグリップが効いていいですよ。

(古いタイプの山ヤに何か言われそう)
水が流れています。
おお、やってしまいました。(ドロドロ)

でも、そのうち乾きました。(すばらしい)
大樺沢沿いではない登山道を登ります。(右)
急登。
第一ベンチで休憩。

荷物が重い。





第二ベンチでも休憩し、登り続ける。





途中で見えた鳳凰山。
石畳がでてきました。
広河原から約2時間半で白根御池小屋に到着。

ここのテン場にテントを設営します。
張ったテントから見た「白根御池」。



沼?
11:12、ちょっと一段落したあと下部岩壁を偵察に行きます。
何かの植物を保護しているようです。
11:26、二俣を通過。
これからは大樺沢沿いを登ります。
11:43、これが結構きつい。
振り返る。
手前に見えている岩は「岩小屋」でバットレス沢の目印らしい。



バットレス沢を詰めればBガリー大滝に着き、一つ上のC沢を詰めればピラミッドフェース付近の下部岩壁に到着する。
12:11、ということで、下部岩壁へ行くために、一つ上のC沢?と思われる所にある、踏み後を登ってみる。
12:25、「トレッキング × モドレ」。

多分、岩場へ向かう道でしょう。
12:31、「↑バットレス」。

これで「バットレス」へは行けるようです。
登っていると明らかにバットレス沢に入ってしまった。



正面に見えているのは「Bガリー大滝」だと思う。



Photo by Sakakibara
ありゃりゃ、Bガリー大滝に着いてしまった。



左にトラバースして下部岩壁へ行きたい。
これが、本来行きたかった下部岩壁。



どうやって行こうか?
この残雪の所しかトラバースできる場所がない。



ということで、うりうが偵察へ行くが、あと5mの所で5mぐらいのスノーブリッジが見えて先へは進めなくなった。
相談の結果、Bガリー大滝を登って、バンドをトラバースして、下部岩壁に懸垂下降することにする。



Bガリー大滝取り付きへ向かう。
Bガリー大滝取り付きから下を見る。
13:19、Bガリー大滝1P目(III級, 30m)をうりうリード。



ややランナウトしますが、III級なので問題はない。
Bガリー大滝2P目(III級, 40m)を榊原さんリード。

ここでスコールが降る。
やがて・・・



すぐに滝のようになる。
(なので「大滝」でしょうか?)
うりうがフォローで登ります。

簡単ですが、濡れているので気持ち悪い。





すると・・・



ら〜く!、ら〜く!



・・・と榊原さんの声が聞こえたと思ったら



ガラガラガラ・・・



・・・と大落石。とっさに伏せて、難を逃れた。



ムチャ冷えた・・・(いきなり、アルパインの「洗礼」を受けた)





Bガリー大滝2P目終了点から踏み後を写す。



ここを登る。
踏み後を詰めると御覧のIII級に近い登り。



「ここまで行くと行き過ぎ?」ということで戻ることにする。
(実際はこれで正解)
Bガリー大滝2P目終了点直上の岩溜まり。



これが落石を起こしたと思われる。
結局、Bガリー大滝を懸垂下降で戻ることとなった。
アンカーは御覧の感じ。

なんとか大丈夫そうです。
懸垂下降一回目。
晴れてきました。
懸垂下降二回目で取り付きへ。
うりうの前にBガリー大滝を登っていたペアが、ありえない方向から下りてきた。

彼らは、どこをさまよっていたのか?
元の道を引き返す。
16:20、結局、C沢?の踏み後はBガリー大滝にしか行けないので、さらに奥の御覧の所(D沢?)から登りたいが、時間が遅いので、少し入った所に・・・
クライミングギアをデポしてテントへ戻ることにする。
大樺沢を下る。
二俣にある「環境にやさしい」バイオトイレ。

ただ、発電機が動きっぱなしなので、本当に環境にやさしい?
17:48、白根御池小屋に到着。

初日から、すごい経験しましたね。
ということで、乾杯です。

ちなみに500円。(生は850円と書いてあった)
夕方はいい感じの晴れですね。



いよいよ本番の明日はどうなるのでしょうか?





2日目(Dガリー大滝-下部フランケ)に続く。





<北岳バットレス(2010.8.27〜29)>
8/27 1日目(Bガリー大滝試登)
8/28 2日目(Dガリー大滝-下部フランケ)
8/28 2日目(第四尾根-北岳肩ノ小屋)
8/29 3日目(北岳肩ノ小屋から下山)


今回登山で学んだこと
・ちょっとした間違いで大きく変わる。

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