2013.5.25
〜一ノ倉沢衝立岩中央稜・衝立尾根(その2)〜
中央稜から国境稜線に抜けようとしたが、途中の烏帽子岩付近から決死の撤退劇が始まる
ルート図
場所
群馬県利根郡みなかみ町
駐車場・登山口
谷川岳慰霊碑公園駐車場(無料)
登山行程
0240谷川岳慰霊碑公園駐車場-0251谷川岳ベースプラザ-0345一ノ倉出合-0417テールリッジ-0518中央稜@P目登攀開始-0551AP目登攀開始-0618BP目登攀開始-0710CP目登攀開始-0807DP目登攀開始-0834EP目登攀開始-0927FP目登攀開始-1001HP目登攀開始-1058/1107衝立の頭-1344頃撤退開始-1438衝立の頭懸垂支点-1620コップスラブピナクル-1749衝立前沢の滝-1839一ノ倉本谷に戻る-1900一ノ倉出合-2001谷川岳慰霊碑公園駐車場
参考資料
チャレンジアルパインを参考にしました。
累積標高差
1300m
平面距離
11.0km
登山口までの移動・登山記録
|
その1では、中央稜を登り、衝立の頭に到着しました。この時は11時前だったので下降はせずに、ブラックボックスである衝立尾根を登ります。
さて、どんな大冒険が待ち受けているのでしょう?。
コンテ・スタカット併用で登ります。
|
|
早速、フィックスロープ。
|
|
「チャレンジアルパイン」では、「懸垂岩まで30〜40分」としか書いていないが、初心者がおれば絶対スタカットで登る必要性がある立派な登攀ルートで、もちろん、落ちたらひとたまりもありません。
|
|
右には幽ノ沢が口を開き。
|
|
左には一ノ倉沢が口を開く。
|
|
ここまでなんとかコンテで登ってきたが、ここは完全にスタカットセクション。
写真のヌンチャクをかけるまで勇気がいる感じで、さらにその上はA0でマントリングというおまけ付き。
フリーなら合わせてIV級以上?
|
|
途中で衝立尾根を振り返る。
写真だけでも、危なさを感じるでしょ。
|
|
II〜III級の本チャンを登っている感じです。
|
|
最初は、ここでどんづまる。
正面の壁にはリングボルトが抜けたフィックスロープ?がぶら下がっており、この壁を正面突破かどうかは逆光で確認はできず。トポには「烏帽子岩を右に巻く」と書いてあったので、最初は右方面へ岩を登ろうとした。
岩を登ろうとすると、岩は脆くて非常に危険。さらに右のクマザサを利用して登れば、右を突破できた。
|
後で調べても、ここを直登だったかも不明。
|
クマザサ地帯を抜けると御覧の感じ。
ルンゼ上が弱点と思われたが、途中まで登ると、非常に岩が脆くて、途中から登ることができなくなる。
あらゆる可能性を考えたが、この崩壊地帯を突破することは危険と判断。
|
|
下降するにも支点を取れる場所がなく、慎重にクライムダウン。
ここで、ピナクルと言えるかどうかわからないピナクルでビレイをして、決死のクライムダウン。
ここが非常にやばかった。
|
|
さらに突破できる可能性を信じて、御覧の場所をクライムダウンしたら、またどんづまった。
今度は元の場所に戻ることも困難であったが、M君の果敢なクライミングで元の場所に戻ることができた。
|
|
突破の最後の可能性は、最初に取り付いたルンゼの左を直上するルート取りだけとなった。
うりうが登ろうとしたところ、M君から「帰りましょうよ」コール。
|
時間は14時前。日中行動で帰るには、ここ突破して南稜を下降するか、衝立尾根を戻るかの選択で非常に迷ったが、ここが崩壊地帯であると危険なので、衝立尾根を下降することにする。(これも危ない)
|
ここからは木を使った懸垂下降。
|
|
ロープ一本25mで、リングボルトが抜けていたフィックスロープがあった所に戻れた。(写真を撮影した場所)
ここからクライムダウン、そして、スタッカートをした所を懸垂下降した後、もう一回懸垂下降しようとした時に事件が起こる。
うりうが支点を確認した時、ピトン一個と枯れた木にボロスリングが巻いてあり、念の為にそれに捨て縄で補強した。そして、うりうが懸垂下降して、続いてM君が懸垂下降した時にピトンが飛ぶ。M君はそこをクライムダウンで無事下りてきた。
捨て縄で補強したで助かったのか、たまたまなのかは不明であるが、とりあえず、最悪の事態は免れたことに感謝。
|
|
「決死の」クライムダウンなどで、衝立の頭付近に戻ってきたのは、14時半頃。
ここからは多分大丈夫と、少しの安堵感で、北稜経由で帰ることに。(これが、また事件となるが)
懸垂下降1P目は、御覧の立派なアンカー。
|
|
懸垂1P目。
|
|
うりうも下りる。
|
|
懸垂2P目のアンカー。
|
|
下りる。
|
|
懸垂3P目はうりうから。
|
|
懸垂4P目は踏み跡を30mぐらい下る。(トポの記載と実際が違う)
|
|
20mの懸垂を斜めに下りる。(目印がついていたので、そこ方面へ行って正解だった)
|
|
これがトポに書いてある「浮いた立木」。
|
|
ここからは空中懸垂40m。
|
|
空中懸垂を楽しみにしていたけど、それほど空中でもなかった。
|
|
下から撮る。
トポでは50mでは届かないと書いてあったが、次の懸垂支点までぎりぎり届いた。
届かなくても、フィックスロープがあるので大丈夫。
|
|
最後の懸垂でコップスラブのピナクルに到着。
|
|
コップ状岩壁を見上げる。
|
|
これがコップスラブのピナクル。
そこを左に巻き、踏み跡を歩く。
トポでは、略奪点から衝立前沢に入り下降する、と書いてあったが、この時は、どこが略奪点か衝立前沢かは不明であった。
|
|
踏み跡は左の雪渓の中に消え、雪渓の縁をクマザサを持ちながら下降する。
略奪点へ向かうには、軽アイゼンでは危険すぎるので、矢印の場所まで下降したら、一切の踏み跡がなかった。
|
|
矢印の場所から衝立岩北稜を振り返る。
|
|
矢印の場所からは、すごいヤブ漕ぎをする。
|
|
衝立前沢に出ると、雪渓の縁を木を使い下降。
|
|
また、ヤブ漕ぎなどを繰り返すと・・・
|
|
沢の中に「トラロープ」が現れ、「多分帰れる」と、喜びの雄叫びをあげる。
|
|
沢を詰めると・・・
もしや、滝でどんづまったか?
|
|
万事休すと思ったら、御覧の懸垂支点が現れる。
確認したら、懸垂しても問題なさそうなので、懸垂下降で一ノ倉沢本谷への帰還に賭ける。
|
|
うりうが懸垂下降し始めると・・・
|
|
あー、大シュルントが大きな口を開けて、懸垂下降で戻れない!!!
がっくり。
|
|
しょうがないので、そのまま右にトラバースをする。
|
|
そのままロープをフィックスとして、M君をこちらに来させる。
この時は18時を回っており、ビバークも覚悟した。(ビバークしたら、二度と山に行かせてもらえないじゃない)
|
|
そこから、またヤブ漕ぎをしたら・・・
おお、一ノ倉沢本谷に戻れた!
この時、18時39分で日没に近かった。
|
|
一ノ倉沢を振り返る。
この時は「当日中に家に帰れる」と喜びに打ちひしがれた。
|
|
再度、一ノ倉沢。稜線はガスに覆われているので、もしからしたら、稜線に行ったらそれはそれで大変だったかも。
ここはいろいろな試練を与えてくれる。
|
|
日没と同時ぐらいに一ノ倉出合に到着。
ここから約1時間で駐車場に戻った。
|
今回の山行でいろいろな課題が浮かび上がった。
・コールが通らない時の意思を通す方法(トランシーバー、笛など)
・コンテ・スタカット併用は本当に有効か?
・残置支点の強度確認は適正だったか?
・クライミングシューズとアプローチシューズの使い分け
など、挙げたらきりがないがないが、決定的なのは・・・
・基本的に日帰り登山縛りがあること
ビバーク用品は持っていき、最悪ビバークする可能性も家族には示唆したが、ビバークしようもんなら、二度と山へ行けなくなる。
まあ、ある意味、これが「安全登山」で行けている理由でもあるが。
今回登山で学んだこと
・いろいろ勉強になった。
左にメニューが表示されない場合は
こちらをクリック
|